まいぷれマガジン
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「つるや伊藤」は創業150年を超える老舗の染物屋さん。5代目当主である伊藤吉之助さんは、知る人ぞ知る船橋の有名人。伝統産業を現代に伝える人物として、新聞などでも多く取り上げられた経験を持つ。さぞかし古風な方なのだろうと想像していたら、ご本人は意外や意外、ユーモアにあふれたお人柄。「若い頃は爆走族でね。バイクで房総半島を走り回ってましたよ(笑)」と、楽しそうに振り返る。
若干19歳で家業を継ぎ、昭和40年代には公害問題のあおりで染め物業の縮小を余儀なくされ(染色した布の洗い流しは、海老川への排水をともなった)、オイルショックでは大打撃を受け……と、まさに昭和の激動を地でいく人生だ。温厚な笑顔からはうかがえないが、常に地道な努力を怠らず、大きなチャレンジも恐れない。充実したホームページはもちろん、オリジナルのかわら版発行に店先の掲示板など、あらゆる工夫を実践。舞台設備やインテリアも手がける事業内容。
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40年以上の実績をもってしても「夜、布団に入るときは、明日のことで思案、不安、思索がいっぱい」というその言葉の中には、伝統というプレッシャーと共に、新しい時代を切り拓いている高揚感も感じられた。
船橋名物といえば、JR・東武鉄道船橋駅前の“さざんかさっちゃん像”。地域の名士の銅像ではなく、さっちゃんという“キャラクター”をモチーフにしたブロンズ像、しかも募金箱としての役割も担っている。
この斬新なプロジェクトの建設委員長だったのが、他でもない伊藤さん。
「さっちゃんには、27年間で470万円以上の募金をいただき、信託財産と合わせて創出された利益で347件の助成事業が成立しました。児童福祉、文化、スポーツと分野はさまざまですが、あくまで地域コミュニティに還元するのが募金
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| 「つるや伊藤」のある船橋・本町は、徳川家康宿泊の御殿跡に「小さな東照宮」が建つ歴史の香り漂う界隈。 |
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の目的です。だから、親しみやすいさっちゃんこそが、ぴったりなんですよ」。
船橋市観光協会の常務理事も務め、長年にわたって地域文化の発展を支えてきた。次に繰り出すアイデアも楽しみだが、その前に、私たち自身にも何かできることがあるのではないだろうか、そんなことを考えさせられた。
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●Profile
昭和18年生まれ。船橋中学校卒業後、京都で染色を修行。帰郷後、
安政元年(1854年)から続く老舗「つるや伊藤」を継ぐ。創業以来
の染め物に加え、現在では舞台装置など幅広く手がける。
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| ←さざんかさっちゃんは、船橋在住の漫画家・牧野圭一氏の手によるキャラクターで、市民投票で命名された。 |
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